ナルト叙事詩とかのぶろぐ

ナルト叙事詩の紹介を中心に、興味のある神話や伝承について自分の勉強も兼ねて徒然にまとめることを目的にしたブログです。趣味の範囲なので更新は不定期になります。

5.エクセルとエクセルテグの死

しばらくあと、海の上で彼を待つ兄のことが気がかりになり、エクセルテグはゼラセを連れて海の上に戻る。

エクセルテグは食事の狩りのために席を外したが、ゼラセは先にそっくりな顔をしたエクセルに出会い触れようとする。エクセルは彼女が弟の妻だと察し、剣を地面に突き刺して操を建てたが、ゼラセは急に冷たくなった夫に泣いてしまう。

その時、エクセルテグは新妻の元へ戻ると、彼女はエクセルのそばで泣いていた。

エクセルテグは怒って矢を放ち、「二本の矢が一本に戻り、彼女に触れたところを貫いて殺すよう」呪いをかけた。エクセルは小指を突き刺され、息絶えた。

エクセルテグは自分が兄を疑い殺してしまったことに気づき、自害する。

(ドンビュッテルの息子たちが呪った通りの結果となった)

 

ゼラセはひとり残されて悲嘆に暮れたが墓を作ることもできない。

そこに戦士たちの守護者である精霊ワステュルジが三本足の馬に乗り、狩猟犬を連れて現れた。彼はゼラセに恋をし、二人の墓を作る代わりに自分と結ばれるよう望んだ。

ゼラセは了承し、ワステュルジは墓を作ったが、ゼラセは約束を違えて水浴びをすると言ったまま、海の底の自分の故郷に戻ってしまった。

ワステュルジは彼女の欺瞞に憤慨し、死の国までも追って、いつかゼラセを捕まえることを誓う。

 

 

エクセル、エクセルテグの物語はここまでですが、エクセルテグの一族(エクセルテカッテ家)は今後のストーリーの主軸となる一族です。彼ら兄弟は狼のワーハグを親に持つ双子ということで、ローマの始祖ロムルスとレムスの双子と比較される場合があります。

 

ワステュルジは三本足の馬に乗る、男や兵士の守護者と定義されます。ゼラセのストーリーでは悪役ですが、コーカサスの男たちにとっては重要な守護者であり、現在の国名ジョージアにも関連する「聖ゲオルグ」の化身ともされる人気の高い精霊です。サタナの父親でもあります。また三本足の馬はハデスなどが乗っている即ち「死者の馬」である他、天空と地上を行き来する、馬に乗った戦士の守護者という点では、インド・ペルシャのアシュヴィン神を彷彿とされる部分も見受けられます。