ナルト叙事詩とかのぶろぐ

ナルト叙事詩の紹介を中心に、興味のある神話や伝承について自分の勉強も兼ねて徒然にまとめることを目的にしたブログです。趣味の範囲なので更新は不定期になります。

9.サタナはウリュズメクといかにして結婚したか

サタナは数年で大きくなり、村の中の誰よりも美しい少女に育った。

彼女は自分の夫にふさわしいのは誰かを考えた。だが、異父兄弟のウリュズメク以上にふさわしいと思える男性はいなかった。

その頃、ウリュズメクはアレガテ家のエルダという美女を妻に迎えようとしていた。サタナは一計を案じた。

 

サタナは魔法使いであり、ウリュズメクの妻となるエルダの手助けをするふりをして邪魔をした。ウリュズメク達が遠征に行っている間に宴の用意をしておくようウリュズメクはエルダに頼んだ。エルダは準備をし、ナルト達の宴に必ず必要となるエールを発酵させようとしたが、サタナがこっそり邪魔をしたため、全く発酵しなかった。

何日かたってウリュズメク達が帰ってきた時、エルダはすっかりウリュズメクの怒りに怯えていたが、サタナは気を利かせるふりをして「私がなんとか発酵させてみせます。それと場を和ませたいので、ウェディングドレスとベールを一着用意してくれませんか」と頼んだ。エルダは疑わずに了承し、サタナは魔法でエールを発酵させた。

ウリュズメク達の宴が盛況に終わったあと、ウリュズメクは酔って寝てしまう。サタナはエルダのウェディングドレスを着て、魔法で扉を締めて、ウリュズメクの寝床に潜り込んだ。ウリュズメクはサタナを妻と間違えた。そしてサタナは夜の時間を長くして部屋を暗くした。エルダはウリュズメクの寝床のドアを叩いたが、全く開けられる様子のないことに嘆いて死んでしまった。

魔法の夜を終わらせたあと、ウリュズメクは夜を共にした女性の正体に気づいて、サタナを非難した。「お前はなんてことをしたんだ。いったい誰がこんなことを許すだろうか」サタナは「人の興味は3日と持ちません。私の言うとおりにすればわかります」と答えた。

ウリュズメクは進行方向に背中を向けるようにしてロバに乗り、ナルト達が会議をするための広場に現れた。

ウリュズメクが広場を一周した時、若者たちは大笑いしたが他のものは笑わなかった。

二度目は笑った者たちは嘲ったが、他の者達は笑わなかった。三度目は誰も笑わず、長老たちの何人かが「ウリュズメクのような男のすることだ、なにか深い理由があるのだろう」と訳知り顔に言った。

ロバに乗ったウリュズメクがサタナのもとに帰ったあと、サタナは言った。「彼らは私達の関係を最初は嘲るでしょうが、やがてそれもなくなるでしょう」

そうしてウリュズメクはサタナを妻へと迎え入れた。

 

ナルトの母サタナとウリュズメクという長老役として活躍する二人の馴れ初めです。以降ウリュズメクは老人として登場することが多い(ヘミュツはそうでもないのですが)一方で、サタナはそうでもありません。神に近い存在と思われていたのかもしれません。

 

アレガテ家とは、ナルトの一族の名前の一つです。アレガテ家、エクセルテカッテ家、ボラテ家の三家があり、聖職者的なアレガテ家、戦士としてのエクセルテカッテ家、富裕者・生産者としてのボラテ家として、デュメジルは三権能の紹介例としてこれらを挙げました。
それぞれの家名が始祖の名前を冠しており、ボラテ家とエクセルテカッテ家は特に仲が悪く、両家は何度か全滅に近い殺し合いをしていたのだと思われています。